業界分析と弊社の方向性

業界分析と弊社の方向性

市場を⼤局的・論理的に分析する

成⻑を続けるヘルスケア産業

2020年のヘルスケア産業の市場規模は26兆円ですが、10年後の2030年には日本の高齢化が更に進み、健康寿命の延伸と共に、運動・スポーツ、栄養管理や食、生活支援などのビジネスも拡大して、医療が製造業、卸・小売業を抜いて日本最大の産業となるとされています。人が健康で長生きする『人生100歳時代』は遠い未来の話ではなく、すぐそこまで来ているという事です。今後10年間で日本の産業構造にも大きな変化が起こる事は間違いありません。

整⾻院市場の現状

整骨院市場に目を向けてみると、既に『飽和状態』である事は明らかです。国家試験に合格し、毎年新たに柔道整復師となる人数は約7,000人、全国の整骨院・接骨院の数は平成30年に5万院を超え、コンビニ業界のいわゆる「御三家」で計約52,000軒あるコンビニに迫る勢いです。街を歩いていて「ここにもコンビニがある」と一度は思ったことがあると思いますが、整骨院・接骨院もそのくらい巷にあふれているのが現状です。

整⾻院業界の⽴ち位置

日本では高齢者社会が進行し、政府も「人生100年時代構想」の推進を掲げ、ヘルスケア産業が大きく飛躍する中で、「整骨院業界もその恩恵にあずかれるのでは?」と考える人も多いと思います。しかし、現実は厳しく、整骨院(柔道整復師)が扱える受領委任払い(いわゆる「保険診療」)は、そのルールが一段と厳しいものに変わってきています。そもそも、国の医療費は年間44兆円に膨れ上がっていますが、整骨院に回ってくるのはそのうちのたった2%に過ぎません。整骨院は国の財源をほとんどあてにできないのです。

柔道整復師免許を活かせる仕事

柔道整復師の国家資格を取得する為に3年間又は4年間の時間と労力、約400万円ものお金を費やし、晴れて柔道整復師になれた後、貴方ならどう働きますか? どこで・どう働くのかに正解・不正解はありません。ただし、柔道整復師の資格を活かすのであれば、整骨院や整形外科などの治療院やクリニックといった医療現場で働くのが一般的でしょう。資格を取得する過程で得た知識や経験があれば、介護やトレーナーなど柔道整復師免許が無くても働ける現場はあります。将来、自分自身で開業するのも選択肢の一つです。

柔道整復師を論理的に分析する1

柔道整復師の就業形態

整骨院や治療院、クリニックで働く柔道整復師の仕事は「労働集約型」です。患者に対する施術(技術・知識)の提供を中心とするサービス業であり、これは医療全般に共通して言えることです。つまり「人の手=労働力」によって価値を出せる仕事です。これに対して「資本集約型」や「知識集約型」の仕事は、機械化やIT化などによって人間の労働力になるべく依存せずに価値を生み出す仕事になります。ズバリ言いますが、柔道整復師を含む医療従事者の仕事とは、自分の技術・知識を労働力に換えて価値を出す、まさに「人」にしか出来ない営みであり、それゆえ現場では労力=体力を使う仕事です。

柔道整復師の仕事をどう捉えるか

柔道整復師は「肉体労働」なのか、どう思いますか? 医者は? 看護師は? 理学療法士は? スーパーでレジを打つパートやアルバイト、飲食店の調理師やフロアスタッフ、資本集約型でIT化も進んでいる仕事でさえ、どこかで必ず「人の手=労働力」はかかります。要は自分の考え方次第なのです。自分の価値をどの様に発揮・表現して提供するのか、その方法に限りはありません。この先5年間で更なるIT化によって多くの人が職を失うと言われています。しかし、柔道整復師が行う業務にそれは当てはまりません。

柔道整復師の将来性

先にも述べた様に、柔道整復師を含む医療従事者の様な労働集約型の職業は、機械化やIT化が進んでも無くなりません。ただし、無くならない事と、将来が約束される事とは、また別の話です。私達の働き方は自分で決める事が出来ますが、①起業するか、②従業員として働くか、のどちらかです。どちらも自分自身に価値が無ければ将来などありません。「国家資格を持っているから」「大きな会社に就職すれば安泰」「開業すれば患者さんが来てくれる」など遠い昔の“都市伝説”でしかなく、現実はそんなに甘くはありません。どの業種・どの職場にあっても、上手くいく人・いかない人、成功する人・しない人は必ずいます。
厚生労働省:平成30年賃金構成基本調査より
大卒者平均初任給
約20万6700円(総支給額)
サラリーマン平均年収
約441万円(18歳~65歳男女平均)
柔整師平均初任給
約21万7000円
開業者平均年収
約370万円
上記の様に、専門・大学卒を問わず、柔道整復師の免許を取得した後の初任給は、一般的な企業に勤める大卒者初任給よりも多い事がわかりますが、独立開業しても平均年収は一般的なサラリーマンより少ない事も事実です。それでも、開業して成功すれば、年収を1,000万円以上得る事も不可能ではありません。

柔道整復師のキャリアデザイン

つい最近、世界シェアのトップを誇る日本の大企業が「社員の終身雇用」について、「既に持続不可能な状況である」と表明し、世間を驚かせました。これに呼応するかの様に、日本政府も「個人が自分自身の人生に責任を持ち、どんな生き方や働き方を実現したいかを真剣に考える時代に突入した」との見解を示しました。衝撃的な内容ですが、わかり易く言い換えれば下記の様になります。
『誰も(親も会社も政府も)あなたの人生に責任は取りません。あなた自身が人生に責任を取りなさい』
長い時間と労力、そして高額のお金をかけて取得した柔道整復師の免許。これをどう活かし、どう働き、どの様な人生を送りたいのかは、あなた次第なのです。

柔道整復師を論理的に分析する2

柔道整復師のキャリア形成

キャリア形成とは、仕事での経験を計画通りに積んでいくことをいいます。親や学校が敷いたレールの 上を進むだけ、ましてや会社で用意された仕事をただこなすだけでは、キャリア形成とはいえません。社会人は自分自身で人生設計を行い、そのために必要なスキルや資格は何かを洗い出し、それらを取得するための計画を立て、それに沿って努力をし、経験を積み上げるのがキャリア形成なのです。ある日突然「朝、目が覚めたら人生の目標がひらめいた!」「毎日何となく働いていたら人生の目標が湧いて出て来た!」「ある程度の歳をとったら人生を考えよう」などと考えていませんか? 大切なことは「明確な目標」を思い描くことです。学生のうちから明確なキャリアプランを描くのは難しいですが、社会人になって5年後、10年後の自分が何をしていたいのかを真剣に考えずにいるのは、将来の可能性を捨てているのと同じだと思ってください。

柔道整復師が陥る“資格の罠“

つい数年前まで、柔道整復師の就職は「売り手市場」でした。簡単に言えば「引く手あまたで、仕事を辞めてもすぐ次の職場が見つかる」といった具合に、好きなだけ職場を選べる時代でした。では、今はどうでしょう。VUCA(Volatility=変動性、Uncertainty=不確実性、Complexity=複雑性、Ambiguity=曖昧性)が時代のキーワードとなったことに加え、コロナ禍によって日本だけでなく世界全体が大不況にあえぎ、多くの企業が倒産や事業の縮小を余儀なくされています。それでもまだ、柔道整復師の免許さえ持っていれば重宝される売り手市場が続くと言えますか? 答えは「ノー」です。会社にとって必要とされない人材は、国家資格を持っていようがいまいが、その組織で働き続けるのは厳しい時代になっていることを認識する必要があります。

柔道整復師の在り⽅

さて、今まで述べてきた事をまとめてみます。柔道整復師は「労働集約型」で「人の手=労働力」に大きく依存し、AIやITによって取って代われない仕事だという事がわかりました。また、資格を活かさなくても知識や技術を活かせれば、働ける職場もあることも知りました。そして、柔道整復師だからというだけでなく、一社会人として、この先の将来に自分自身で責任を持って生きる事が求められる時代だという事も理解出来たと思います。両親や学校の敷いたレールは既に外され、自分自身が主体性を持って生きなければ、未来などありません。長い時間と労力、そしてお金を使って手にした柔道整復師の資格を活かすも活かさないも、正解・不正解はありませんが、仮に柔道整復師として今後もこの資格や習得した技術・知識を自身の将来に活かしたいのであれば、明確な目標やそれを達成するためのキャリアプランを立て、それに沿って日々の仕事に就く事が重要になる、という事です。

現場における柔道整復師のキャリア形成

いよいよ本題に迫ってきましたが、ここでは現場(整骨院や治療院)で柔道整復師が実際にどの様にキャリアアップするのかを見てみましょう。現場では、柔道整復師としての施術に関わる技術や知識の他に、会社を運営する上での事務作業、レセプト業務、後輩の育成など、総合的なスキルの習得に比例して役職が決まります。より責任のある立場になればなる程、その対価(給与や社会的地位・信頼)も上がります。これは整骨院だけの話ではなく、一般的な会社も同じで、責任を伴わない楽なポジションは新卒者が担い、キャリア(経験)を積むごとに上位の役職に昇進して重責を担う業務に当たるのが通常です。これはほとんどの人が学生時代の部活を通じて疑似体験していると思いますが、新入生(1年生)と3年生では練習内容も違えばその責任も違います。3年生が楽をして1年生が部活を引っ張っていくなどといった話は聞いたことがありません。会社に於いても従業員の果たすべき役割は入社年次や業界歴に応じてある程度決まっています。

柔道整復師のキャリア形成の実例

現場におけるキャリア形成

整骨院における一般的なキャリアアップの実例を紹介しましたが、これとは別に、経営サイドに入り、会社の運営で能力や手腕を発揮する働き方もあります。具体的には「経営戦略の策定」「マーケティング」「人材育成」など、自分自身は施術の現場を離れ、柔道整復師が働くための環境づくりや、会社を持続的に運営する為のシステムづくりなどに主として従事する働き方です。一般的に幹部や管理職といわれる役職は副院長や院長からと設定している会社が多く、現場を離れて運営サイドに入るには現場の全てを習得した後だとされています。現場が分からない者に会社の運営や経営は任せられないですからね。そして、中間管理職から先は上級管理職、取締役、さらにトップである代表取締役社長となります。

キャリア形成と報酬の関係性

会社の運営サイドに入ることが良し悪しの判断基準とはなりません。柔道整復師として生涯現場で働く人の方が殆どです。では、給与はどちらの方が上がるのでしょうか。それは会社の方針次第だと思います。管理職以上になると、院の売上に対するインセンティブ制(いわゆる「成果報酬型」の給与体系)を採用している会社も少なくありません。現場で自分が頑張った分がそのまま自分の給与に反映され、上限がなければ働くことへのモチベーションとなることは間違い無いでしょう。昨今では自分で起業・開業するリスクを避け、組織内で自身のキャリアを高めて自分が就きたいポジションで安定して働くことや、個人では出来ない目標を会社組織と一緒になって実現する働き方も主流となりつつあります。

現場のキャリアを外部で活かす

整骨院以外でも柔道整復師の働き方はあります。
  • ・トレーナー
  • ・柔整学校教員
  • ・介護職員
  • ・整形外科
  • ・リラクゼーション
どの職種を選ぶのも自身で決める事ですが、大切なことは、それが「本当に自分がやりたい事」なのかです。何度も繰り返しますが、長い時間と労力、お金を使って柔道整復師免許を取得しようとした理由が上記の職に就く為であれば、それで良いと思います。しかし、「柔整の仕事が辛い」「きついから」「将来に不安を感じるから」といった理由で今の勤め先を離れるのであれば、きっと貴方はどの職種を選択したとしても同じ事を繰り返すでしょう。現実から逃避しても問題は解決しないからです。

想現グローバル(SOG)が⽬指す⽅向性

医療との共創へ

ヘルスケア市場が拡大していく中でSOGが考える「整骨院業界が目指すべき方向性」は明確です。それは「医療との共創」に他なりません。その為には、柔道整復師は知識・技術だけではなく、医療人としての品位・品格といった“人間力”を身につけることが重要だと考えています。医療はそれぞれの専門分野に細分化されていますが、柔道整復師による施術も高い専門性を有することから、医療の一端を担うことは十分可能です。医療の分業制、医療従事者の働き方改革、利用者の利便性向上、そして医療法人の運営という観点からも、今後は整骨院単体、クリニック単体ではなく、双方による『共創』がヘルスケア産業において大きな役割を果たすと考えます。

⾃社によるメディカル・ステーションの運営

ななみ整骨院グループは徹底して「治す」を追求します。慰安目的の安易なマッサージ院とは一線を画します。その為に柔道整復術と医療を融合し、どちらのサービスもワンストップで提供できる「メディカル・ステーション」の実現を目指しています。これは単にSOGが掲げる目標ではなく、この先の整骨院業界の存続に関わる事業だと考えているからです。本来、柔道整復師は「痛みを治す」仕事であり、高額なチケットを売りつけたり、単なるマッサージをしたりする仕事ではありません。急性期の外傷患者が来院されても何も出来ずに右から左へと患者を転院させていいのでしょうか。自分の大切な家族が怪我をしても何も出来ない柔道整復師に存在意義などあるのでしょうか。ななみ整骨院グループは柔道整復師が本来あるべき姿である「本当に“痛み”を治せる、選ばれる施術家集団」を目指し、整形外科・内科・外科など他の専門医と連携した医療チームの一員として、自分達の技術や地位の向上を図っていきます。

働き⽅の多様性

メディカル・ステーションの運営を軸とし、柔道整復師の働き方の多様性を確立する為の事業として、SOGは以下の全ての事業において自社の柔道整復師が活躍できる環境を整え、運営・経営まで一貫して責任を持って担う事を目標としています。
  • ・トレーナー事業(WSL:World Surf League オフィシャルサポーターとしての実績あり)
  •                            
  • ・柔整学校での講義(日体柔整での講義、学生向けセミナー講義の実績あり)
  •                            
  • ・整骨院支援事業(個人・グループ院コンサルの実績あり)
  •                            
  • ・経営塾(経営者・幹部経営塾3期3年の実績あり)
  •                            
  • ・介護事業(高齢者専用ジム兼コミュニティーを創設予定)
  •                            
  • ・整骨院グループ展開(社内起業・暖簾分け制度あり)
  •                            
  • ・行政との連携(人生100歳時代に向けたヘルスケア事業を提案へ)

⽬標の実現に向けてすべき事

この目標は社長一人では実現できません。SOGで働くスタッフ一人ひとりが常に主体性を持って行動することが必須です。単にスタッフがSOGの目標を叶える為だけに働くのではなく、このプロセスによって各自のキャリア・デベロップメントが確立され、自分自身の「夢」や「目標」に 必要な技術・知識・人間力、医療人としての品位・品格が必ずや培われるものと確信しています。会社・組織・仲間・患者様のそれぞれに貢献することこそが、自分自身の人生の目標や幸せを引き寄せます。SOGはこの理念に共感してくれる仲間を募っており、そうでない人とは働きません。

貴方が会社に求めなければ会社も貴方を求めません
それがSOGのあるべき姿です